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捨てられた子猫2007-07-26
 19日の夜のことです。いつものようにクマと、日が暮れてしまった農道を散歩していました。
 クマには20mのロープをつけて、自由に走り回れるようにしてありますが、夜道は、前方から突然人が現れることがあるので、7〜8mくらいの長さで歩かせています。


 突然クマが走り出し、草むらから何かを拾い上げて、しきりに首を振りだしました。
口から放り投げたものは、道路のアスファルトの上に落ちました。また拾い上げようとするのを制して、近づいて見ると、それは、三毛の子猫でした。抱き上げてみると、ぐったりしていて小さな声で鳴きました。


 突然起こった悲劇に呆然としてしまいました。
クマが、子猫を噛んだことも、私の不注意だったことも、そして、こんな小さな子猫を捨てた飼い主のことも。
 頭の中は、この始末をどうしようという思いでいっぱいになりました。
「うちには、既に一匹、飼い猫がいるので、とても飼えない・・・、しかし、クマがしでかしたことに目をつぶれない。それに、怪我をしたこの子をほったらかしにはできない。でも、でも・・・・」
 

 「ごめんね!ごめんね!」と侘びながら子猫を、草むらの上に寝かし、歩き出した私は、やはり連れて帰るために、ここに戻って来なければならないだろうと思いました。なんたって”命”なのですから。それしかないと思いました。


 クマをうちに連れて帰った後、再び車でさっきの場所に戻りました。暗がりでよく見えなかったので、「ねこちゃん!」と呼ぶと微かに返事が返ってきました。偉いです。
 謝り続けながら抱き上げて、車に載せようとすると、離れた所でまた別の子猫の鳴き声がしました。目を凝らして近づいて見ると、キジ猫が大きく目を見開いて「私もここにいるのよ。」とご機嫌よく言っていました。
 「あ〜あ、仕方がない、なるようになるさ!」と、もう無駄なことを考えまいと思いました。


 連れ帰った怪我をした猫は、左手の関節のところとお腹をやられていましたが、私が顔を覗き込むと、応えるように鳴いてくれるので、びわの種の焼酎漬けとびわ葉で湿布をしてやって、明日になったら病院に連れて行こうと思いました。


 時々、寝る向きを変えたりしながらゴソゴソしていたので、助かるかもしれないと思って安心していたのですが、仕事を終えて覗いて見たら、目を開けたまま息が絶えていました。
 そして、もう一匹の子は、息絶えた子に寄り添って眠っていました。
 連れてきた夜は、少々不安げだったこの子も、私のベッドで一夜を過ごすと、落ち着きを取り戻しました。
 名前は、”ちっち”になりました。生後3ヶ月くらいでしょう。


 思いのほか、賢い子なのでびっくりしています。
トイレは、来た夜に教えたところ、すっかり覚えて一度も粗相をしていません。私が忙しく働いているときは、けっして邪魔をせずに、一人で遊んでいるか、どこかの陰に行って眠っています。テーブルに上ろうとしたので、一度叱るとそれも理解したようです。
 

 一番びっくりするのは、私が寝ている間は、決して私を起こさないことです。私が、早く起きるときはともかく、休みの日に10時まで寝ていても起こさないのです。
 明け方、いつも私は、トイレに起きてまた寝るのですが、そのときも彼女は、パッチリ目を開けて座ったまま私を見つめています。起きているのにおとなしくしているのです。なのに、私が、ほんとうに起きたのが分かると、「ミーミー」と騒ぎたて、お腹がすいていることをしきりに訴えます。


 私が、パソコンの仕事をしていると、キーボードの向こう側のせまいところに入って寝込んでいます。(どうかDeleteキーだけは、触らないでくれ!)

 ただ、子猫ですから、食事中など、容赦なく素肌の私の足を、細い爪を立てて膝に上ってきます。私の履いているスリッパにじゃれつきます。立っていても、あっという間に、肩まで上り詰めます。
 先住のキジーは、いつものごとく”ちっち”の入居をとても嫌い、3日間、家出をしました。やっと帰ってきても、食事をするとサッサと出て行きました。”ちっち”が、キジーの傍に寄ろうとすると、シャー!と言って威嚇します。私に対しても、とても機嫌が悪くツンケンしていました。


 ”ちっち”は、お母さんが恋しいのか、しきりにキジーの傍に行きたがります。威嚇されて、じっと立ち止まり、キジーが横を向くと歩を進め、また威嚇されます。
 キジーの好みは、おとなしくて優しい猫です。そういう点では、”ちっち”は、私から見れば、及第点なのかもしれません。
 キジーに興味を示しながら、甘えたくて仕方がなくても、控えめに控えめに、じっとご機嫌を伺っています。


 ”ちっち”がうちに来て、1週間が経ちました。少しずつ少しずつ、キジーの心もほぐれてくるようです。
 今日は、至近距離で、お互いをかなり意識しながらですが、一緒に食事をしました。


 しかし、私の中では、やっぱり2匹は飼えないという思いがあります。
料理店をしていなければ、可哀想な猫たちを何匹でも飼ってやりたいという思いはいっぱいなのですが・・・。


 “野の花”に来てくださるお客さまは、不思議に動物好きの方が多く、それも圧倒的に猫好きの方々です。
 そのうちに、どなたか飼ってくださる方が見つかればいいのですが。・・・私の心が、”ちっち”へ傾いてしまわないうちに。
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