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娘の帰国2007-09-05
 アメリカに住んでいる娘が一昨日帰ってきました。
 お正月は、人員不足で、6月にも帰国を予定していたけれど片道切符しか取れないからと、1年半ぶりの帰国です。アメリカは、日本のお正月と違って特別な休暇はありません。片道切符というのは、彼女は、日系の旅行代理店に勤務していて、安い航空券を見つけて帰ってくるからです。
 今回も、ワシントンDCから福岡までの往復が、何と650ドルというから驚きです。日本円で、(当日は)73,000円程度でした。それも、プレミアム・エコノミー(ビジネスとエコノミーの間)クラスで、まともに買えば3,000ドルはするのだそうです。


 日頃は、離れて暮らしているので特別寂しいとは思わないのですが、帰ってくる日が近まるにつれて、だんだん落ち着かなくなってきます。
 彼女のための部屋を掃除して、食べさせたい料理を考えて、一緒に過ごすプランを(一応の案)立てて・・・
そして、馬鹿なことに、帰ってくる前から、今度は、見送るときの寂しさばかりが先に立ってしまいます。
取り越し苦労なんて、若いころに捨ててきたはずなのに、娘との別れに関しては、未だに私に付きまといます。

 
 久々に家族と過ごすことを思い出し、話しかければ応えてくれる、空気のように軽い関係が何とも心地良いです。それに、やはり娘です。食器洗い、部屋の掃除、洗濯物畳みなどなど、いつの間にかやってくれるのでとても楽チン!


 いつもは、メールや電話でのやり取りですが、いざ対面して話すとなると、1年半分の細かな日常生活での話が、止めどなく溢れ出します。ほとんど娘が聴き役で、私は、おしゃべりな母親になってしまいます。


 娘も30歳になり、母親のはずだった私は、次第に娘から見守られている立場になってきました。
 私が常日頃お世話になっている方々を知っていて、帰国するたびに、ご近所の方々へのお土産を買ってきてくれるのを忘れません。そして、ご挨拶に出向き、「母がいつもお世話になりまして、ありがとうございます。」と頭を下げて回ってくれます。


 娘を迎えに福岡空港まで行ったのは、夜のことでしたが、夜の車の運転が、近年辛いときがあって、今回も都市高速で、一瞬でしたが岐路が分からなくなってしまいました。「お母さん、見えてないの?」と娘から目敏く見破られ、「眼鏡かけなきゃ!」と厳しく注意されてしまいました。


 翌日、「お母さん、今日は、眼鏡を作りに行きましょう!見えなくて、人に怪我をさせてしまったらどうするの?・・・私が買って上げるから!そうでないと、私は、安心してアメリカに戻れません!」
 否応なしに眼鏡屋さんに連れて行かれ、子供を医者に連れて行った時の母親のように、店の方に説明をし、検査を受けている私の傍を片時も離れませんでした。
 レンズも色々あって、私は、車に乗るときだけだから安いので良いというのに、上等な方を勝手に決め「これをお願いします!」とさっさとカードを出して私に口を挟ませんでした。まるで頼もしい母親です。


 そうそう、その眼鏡をかけたことですごいショッキングな発見がありました。今まで見えなかった世界が、すごくきれいに見えたのは嬉しかったのですが、眼鏡屋さんにあった鏡に映った自分の姿を見て愕然としてしまいました!これが現実なのかと!自分がこんなに年を取っていることを初めて知りました。
「え〜!お母さんってこんなにひどい顔してたの?」
「そうよぉ、今まで見えなかったのよ。私だって、コンタクトを入れたときにショックだったもの。」
・・・優しいはずの娘でさえ、何のフォローもしてくれませんでした。
 娘の帰国を、私以上に喜んだのは、犬のクマでした。 
 クマは、娘がアメリカに立つ6年前に、私に預けていった娘の犬です。ほんとうは、アメリカに連れて行くつもりだったのに、9.11テロの直後だったため、またテロが起こることを心配して置いてけぼりになってしまったのでした。何しろ、行き先がDCでしたから。


 私も、クマをとても可愛がっていますし、大切にしているのに、娘を見るクマの目は、全く顔の表情が違って輝いています。娘が傍に居ると、私がクマに声をかけても、クマは、娘の方しか見てくれません。
 赤ちゃんのころから、ずっとクマのお母さんだったのですから当たり前です。
 娘が帰ってくる何日も前から、「もうすぐお姉ちゃんが帰ってくるからね。」と何度も何度も言い聞かせました。


 「クマちゃん!大きくなったねえ、お母さんの言うこと聞いてお利口さんにしてた?お姉ちゃん、クマちゃんに会いたかったんだよ〜!」
娘の静かで甘い言葉だけでも、クマは心から癒されるようです。


 娘が帰った後、クマはしばらく娘が触った物や私に残った移り香で娘を懐かしみ、私は、布団やお茶碗に触れ、クマと寂しさを共有して慰めなければなりません。そうです、クマのために娘の衣服を洗濯しないで取っておかなければなりません。
 滞在は、1週間で、11日の早朝には帰ってしまいます。
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