トップ 庭のアルバム 野の花ブログ Myレシピ
      
 ※各画像をクリックすると、拡大画像がご覧になれます。
初めての出張料理2007-10-15
 10月2日は、私の高校時代の友人のお嬢さん、玲子ちゃんの結納の日でした。友人からその日の料理を頼まれて、前日から泊りがけで、初めての出張料理に行って来ました。行き先は、友人の実家のある、北九州の小倉でした。


 食材、調味料、使い慣れている調理器具、数種類の食器、会席盆など、持って行くものを用意すると、膨大な量になりました。
 やはり一番大切なものは、食材です。日頃から“野の花”の食材は、私の畑や庭で採れたものや、近辺の山菜などをできる限り使い季節感を味わっていただくことが私の楽しみの一つでもありますが、今回は、なお更いっそう集められるだけの季節を集めました。
 3日前から、お客さまの準備と平行して寸暇を見ながら揃えていきましたが、持っていく料理の下ごしらえもあったため、欲張りすぎて時間が足りなく、前日夕方の出発する直前まで走り回っていました。
 考えたら、30年近く前に友人が出産したときに祝いに行ったきりでしたので道が分からなく、お母さまが近くの幹線まで車で迎えに来てくださいました。友人も、明日の準備の買い物に大忙しで、私よりも到着が遅れました。


 まあ、大きなお家でした!駐車場から、アプローチの階段を上って玄関にたどり着き大きな玄関のドアを開けると広いホールに長い廊下、立派なお家です。


 前夜には友人のお母さまが、私の苦労をねぎらってくださるかのように素晴らしい韓国料理をご馳走してくださいました。牛肉と大根を使った肉汁、ナムル数種、タラのえらの部分で作ったヤンニョン塩辛、なかでも、ワタリガニの韓国唐辛子とニンニクの効いた味噌煮は格別でした。
 数年前から、お母さまの韓国料理を食べたいと言っていた私の希望が実現しました。
 残念ながら、画像はありません。あまりにも美味しくて、夢中で食べてしまった後、「あっ!写真撮るの忘れてた!」と思い出した次第です。
 こんな忙しい中でのお母さまの気配りに、今考えても感謝でいっぱいになります!
 食後は、明日のための食器の用意や下ごしらえがありましたが、友人のお母さまの手料理に、翌日への大いなるエネルギーをいただくことができました。
 キッチンの他、広いダイニング、リビング全部を私の仕事場にしていただき、居心地良くて言うことなしです!
 

 いつも従業員さんたちのための宴会をされていたそうで、食器は、大きな食器棚が4つも5つもあって、ふんだんにありましたし、雰囲気のあるものをと友人も自宅から持ってきていたので、私が持っていったものと取り混ぜて使うことにしました。お母さまも、友人もこだわりがあり、食器選びには結構時間をかけました。


 東京から見える新郎のご両親のために、そして若いお二人のために、ひとつひとつ友人に相談しながら(納得させながら)の下ごしらえでした。下ごしらえには、友人も深夜過ぎまで銀杏や栗の皮やをむいたりして手伝ってくれました。


 粗相のないように、先様のご両親に喜んでいただくために、そして和やかな雰囲気作りのために、玲子ちゃんのお母さまもおばあちゃまもそれはそれは心配りに大忙しです!


 海外の上海で暮らす若いお二人は、結納を済ませた後、区役所に入籍の手続きに行くことになっていましたので、結納と結婚のおめでたい日でもありました。披露宴は、来春だということです。


 結納のお料理の正式な形は分かりませんが、とにかく心を込めることしかできません。
 野の花”の料理は、私の庭や畑や散歩途中の近くの自然の中で遊び感覚で採ったもの、近くのお百姓さんがつくられた旬のものが主な食材で、季節感をとても大切にしています。
 近頃は、店頭に季節感のない野菜たちが一年中揃っていますが、自然の太陽を浴びたものに勝るものはないと思っています。その旬の植物のエネルギーこそが、私たちの生命力の源の血液を作ってくれているのですから。
季節の旬の味を季節と共に味わっていただくこと、なるべく素材の本来の味を生かすというのが、料理を勉強したこともない私の料理に対する考え方です。
 という長たらしい講釈のわりには、何の変哲もない料理ですが、今回のおしながきをご紹介しますね。(すみません、これも画像はありません。)


前菜
 塩煎り銀杏
(近所で拾った銀杏で、殻を少し残しました。翡翠色がきれいです。)


 豆腐の味噌漬け
(自家製味噌に香りのいい上等な泡盛を混ぜて漬け込んでいます。)


 きのこのずんだ和え
(枝豆をすり潰して、下味をつけたきのこを和えました。トッピングに、さらに緑色のペースト状のものと粒のままの枝豆を飾りました。)


 焼き茄子のクズあんかけ
(だし汁にクズでとろみをつけたものをかけます。冷たく冷やすと、シンプルですが暑いときには、とても美味しいです。)


 さつま芋の甘露煮
(色付けに、庭のクチナシの実を使いました。)


 いもづるのキンピラ


お煮しめ(里芋、こんにゃく、人参、椎茸、いんげん)


がんもどき
(椎茸、人参、ごぼう、ひじき、銀杏に下味をつけ、水気を切った豆腐をすり潰したものに混ぜて高温の油でカリッと揚げます。つなぎは全く使いません。)


かぼちゃのすり流し・卵豆腐添え
(黒椀に入れた卵豆腐に、蒸したかぼちゃを裏ごししだし汁で伸ばしたものをかけました。熱々でいただきます。卵豆腐とトロトロかぼちゃの意外な組み合わせですが美味しいのです。かぼちゃは、塩味のみです。)


柿のサラダ
(半分に切った柿をくり抜き、柿の器を作ります。くり抜いた柿、りんご、梨、きゅうりをサイコロに切って、塩と少量のマヨネーズで和えます。真っ赤に紅葉した庭の柿の葉を、飾りました。ぜひ作ってみてください。意外な味ですから。)


秋刀魚のぬか味噌煮
(床漬のぬかを入れただし汁で、4〜5時間炊いて骨まで軟らかくします。)


アマダイのしんじょの吸い物
(活もののアマダイで作ったしんじょの中に、庭で採れた大きなむかごを射込みました。香り付けには、これまた私の庭のみつばと青い柚子の皮を浮かべました。まだ時期が早くて、みつばはやっと人数分しか採れませんでした。)


香の物
(きゅうりの味噌漬け、ニガウリの佃煮・・・味噌ももちろん自家製です。)


栗お赤飯
(我が家の栗と、早々に私の畑で収穫した小豆を使ったおこわご飯です。)


デザート1 イチジクと梨のコンポート
(わが庭の、ほんの少し採れたイチジクをワイン煮にして冷やし、上に生クリームをかけました。)


デザート2 コーヒー&りんごのケーキ
( 甘味は、塩とほんの少しの蜂蜜だけ。りんごは、塩を入れることでびっくりするほどの甘さが出ます。シナモンで香りをつけました。お食事の後、ゆっくりお話をしていただきたくて、デザート2になりました。) 
 早朝から美容院に出かけ、着物姿になった玲子ちゃんは、しっとりとした艶っぽい女性になり、目を見張るばかりの美しさでした。容姿ばかりではなく何かにつけて、やさしく細かく気配りのできる玲子ちゃんは立派な文句なしの大人でした。


 緊張した空気の流れる中、お客さまをお迎えする友人家族と、台所担当の私も一体になってひたすらそれぞれの分担を受け持ちながら結納の席に備えました。


 しかし、食事が始まるととても和やかな雰囲気が流れ、笑い声が起きるのを、ほっとした思いで聞きました。
 料理の説明を友人から促されましたので、本当の意味での”厳選素材”を使っていること、自家製の野菜、食材であることを、畑作業のことを交えてお話しました。


 「東京にも、そんなお店があればいいのですけど・・・。東京には、支店は出していらっしゃらないのですか?」と、控えめな新郎の和哉さんのお母さまがおっしゃいました。
「いいえ、福岡の本店のみでございます!」
とんでもないとばかりに友人がすかさず言って大笑いになりました。


 無事に結納が終わり、先様のご両親をお見送りして、私たちはみんなで、今日の長かった佳き日を胸を撫で下ろしながらお互いに労をねぎらい合いました。


 「料理にはとってもうるさい母なのに、『おいしかった!』としか言わなかったよ!ご両親も、珍しいのばかり食べさせてもらったって喜んでくれたし・・・」と友人がねぎらってくれました。


 翌日の友人からのメールには、
「結納の日はたくさんの方の連携プレーですばらしい時間を紡ぐことが出来ました。何といっても一番心配していた玲子が心から喜んでいたのを私は見逃しませんでしたよ。
 和哉さんは玲子の家族の一人ひとりに丁寧に会ってくれて、また今日は和哉さんのお母様からお礼のお電話をいただき、控えめなお人柄に、玲子はこれから学ぶことが多いだろうと思っています。
 改めて私の両親が、私を嫁がせるのにどんな思いだったかと察せずにはいられません。」
と書かれていました。


 初めての、責任の重い仕事でもありましたが、私の勉強になるからとの友人の配慮でもあり、おかげさまでいろんなことを勉強させてもらいました。


 最後になりましたが、新郎の和哉さんの素直で謙虚な人柄は素晴らしく、玲子ちゃんのこれからの人生の間違いのない良きパートナーになってくれることを確信しました。お幸せをお祈りいたします。
このブログの内容にコメントします
前の記事へ
次の記事へ

Copyright:(C) 2003 Nonohana All Rights Reserved