ボーッとしている間に、4月になってしまいました。桜が4分咲き、田園には、ポピュラーなものでれんげ草、ホトケノザ、きんぽうげ、シロツメグサやたんぽぽなどなど、たくさんの野の花がやわらかな陽差しにささやき合い、笑い合っています。
小川には、クレソンがこんもりやわらかな小さな森を作っていますし、草むらには、小玉ねぎのようなノビル、藪カンゾウの新芽、ハナウドの新芽、ヨモギ、ヨメナが、そして少し山に入ると蕗(フキ)、つわ蕗、ウド、タラの芽など、たくさんのエネルギーを持った山野草が豊富です。この季節は、寒い冬を潜り抜けてきたものたちの命の祭典の時です! |
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これは、蕗とつくしです。前原市には、産直市場もたくさんあって上等な野菜類を安価で購入することができますが、前原と言えども上等な蕗には、市場ではお目にかかることがありません。上等な蕗は、太くて大きいけれどとても瑞々しくてやわらかなものです。
蕗は、至る所に自生もしている植物ですが、野山をいつも物色して歩いていても、なかなか納得できるものに出遇うことは少ないです。ですから、上等な蕗の在り処を見つけれたときは、私だけの秘密の場所になります。野いちごやウドの場所を見つけたときも、ほんとうに嬉しくなります! |
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つくしは、どうやら終盤を迎えましたが、深い草の中には、目覚めの遅かったつくしを、まだまだ見つけることができます。むしろ、この晩いものの方が質が良いようです。
つくしの時期になると、長閑な陽差しに誘われて今年も連日、都心部からの大勢のつくし摘みの車が止まっていました。昔の郷愁に駆られて・・・というのでしょうか?つくし摘みは、代表的な春の風物詩ですものね。
そうそう、今年は、”つくしのかりんとう”も作ってみました。人づてに聞きかじりで作ったのですが、これがとても美味しいんです。つくしの青い胞子が絡まってお抹茶の味がするのですよ。お抹茶にも合いますし、コーヒーにも合います。・・・でも、本物の、”つくしのかりんとう”を見たことがありませんのでまだ研究の余地ありです。 |
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春の高級山菜といえば、ウドやタラの芽かもしれません。料亭で食べればかなりの料金を取られてしまいます。香りが価値でしょう。栽培物も出回っていますが、やはり香りがぜんぜん違います。自然の産物のありがたさです。
シロツメグサやたんぽぽの花も天ぷらにすると、これはかなりいけます。お皿に盛ったときもきれいですが、味もいいんです。もちろん、ヨモギやヨメナ(ヨメナは、秋に野菊を咲かせます。)、レースフラワーのような花を咲かせるハナウドも香りがよくお浸しや天ぷらには、とても楽しい食材です。
春の山野草を天ぷらにしようと思うと、種類が多すぎて、欲張りすぎると、お客さまのテーブルに行き着くまでに延々とお待たせする羽目になってしまいますから、この春の天ぷらのころになると、こんなときだけは、対面キッチンであって欲しいなと思ってしまいます。・・・そうです、天ぷらだけは、客間で揚げて差し上げるようにしたほうがいいのかもしれません。次々に揚げていると、持って行く間にも冷めてしまいますもの。 |
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れんげ草も、次第に田んぼをピンクに染め始めています。れんげ草は、とても可愛い、子供のころからの馴染みの深い野草ですが、残念ながら家に持ち帰って飾れない花です。なぜならば、摘んでしまうと次第に花びらを閉じてしまい、家の中では、可憐な咲きぷりはけっして見せてはくれません。・・・まるで、チルチル・ミチルの”青い鳥”のようです。きれいに見えた青い鳥も、捕まえてしまうと黒い死んだ鳥になるように。(だったでしょうか?子供のころに読んだっきりです。)
昨年から、れんげ草をみると、れんげ草の煮汁で作った”れんげ草のゼリー”の大切な食材に思えてきました。れんげ草ばかりではありません。シロツメグサ(クローバーの花)やたんぽぽまでが、春を演出する大切な食材になっています。
春の陽気の中での摘み草の楽しみは、私が夢中になれる遊びでもありますし、これも大切な仕事だといえるような今の暮らしは、何と贅沢で幸せなことなのでしょうと思わずにはいれません。そして、そんな命をいただくことにも感謝を忘れずにいなければなりません。
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