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心揺るがすシャンソン・・・平和へのラブソング2008-07-14
 七夕の夜のことです。遊びに来ていた、セラピストの真理野さんが、「12日(土)に長崎に行きませんか?私の大好きな岐阜の木工作家の作品展と合同で、友人のシャンソン・ライブがあるのです。」と誘いました。日々忙しく、そんな贅沢な時間を使うことに躊躇って返事をしないでいる私に、「私の招待にさせてください。ぜひ、観て欲しい、聴いて欲しいのです!」と重ねて誘いました。


 お客さまのご予約がない日でも、梅雨明けの庭や畑は、何とかしてくれと私を呼んでいますし、大掃除も、春の花の種の処理も終わってはいないのに、珍しく強引に誘ってくれる彼女の言葉に動かされて一緒に行くことにしました。


 木工もシャンソンも大好きですけど、でも、一緒に行くことに同意したのは、このところ真理ちゃんと一緒に居ることが心地よく、”気晴らしのピクニック気分でドライブを楽しもう”という軽いものでした。
 土曜日の朝、ふたりで焼きたてのパンに、採れ立てのきゅうりやトマトを挟んだサンドウィッチを食べ、お昼のお弁当を持っていそいそと出発しました。
 長崎は近いです。ドアtoドアで、1時間半。長崎の山の上まで、信じられない速さであっという間に着いてしまいました。


 サロン特設会場に入るなり、展示してある、三尾英明(みお・ひであき)さんの木工の数々に目を奪われ、奥さまが出してくださったコーヒーも頂かないで見入ってしまいました。
 椋(むく)、欅(けやき)、橡(とち)などの素材で作られた、白木の食器やテーブル、戸棚などの家具には、可憐な野の花たちがやさしいタッチで描かれていました。やわらかで丸くて、どれを取っても、手にぴたっと馴染みます。色の、控えめなやさしさからも、三尾さんの生きる姿勢が伝わってきました。・・・初対面でお話したときの笑顔と、あの芸術家特有の風貌もすてきでした。奥さまも絵付けをなさるそうで、たぶんこの絵は、奥さまの作品でしょう。


 三尾さんは、東京で新聞や雑誌の記者として10年間の活動後、1983年から岐阜県中津川市に帰郷して「工房むくの木」を開設されたそうです。以来日本各地で個展を開催されていて、九州は、初めてということでした。


 その夜の、サロン・ライブのミュージシャン、寺井一通(てらい・かずみち)さんとは、20年来のお友達だということでした。
 色づき始めた太陽が山際に少し近づいてきたころ、寺井一通さんのシャンソンが始まりました。
”ジョルジュ、ムスタキ”の歌や愛の賛歌”、”枯葉”など、ポピュラーなものを10曲ほど聴いて、「いい声だぁ〜!」と静かに思いました。小さな声で歌われるときも、しっかり響いて身体に入ってきます。いい音楽は、セクシーです!


 その後、自作のオリジナル曲が次々とご披露されていきました。人生の歌、灰谷健次郎さんの詩に曲を付けたもの、原爆に因んだ歌、そして平和へのラブ・ソングなどにどんどん広がっていく彼の歌の世界に、いつしか我を忘れ立ち上がっている私がいました。延々、3時間、いつ終わるともしれない、それでいて、ますます盛り上がって熱くなっていきました。


 今まで、たくさんのミュージシャンのライブを聴いてきました。そして、いつも熱い感動に心を揺さぶられました。しかし、今回は、最高中の最高でした!寺井さんの歌われる、歌詞に込められたメッセージに聴き入りながら、平和への長年の活動、田舎暮らしの日々の生活に根ざした音楽家としての生き方を知りました。そこに彼の歌唱力のすごさが加わり、溢れる想いは、頬を伝う幾筋もの涙になりました!そして、寺井さんの歌声を更に魅惑的に演出してくれていたのは、齊藤さんご夫妻のバイオリンとピアノのやわらかな音色でした。これが、シャンソンのバイオリンなのかと、バイオリンの魅力にも取り憑かれてしまいました。
 寺井さんの音楽教室の生徒さんたちによる原爆の歌も感動でした!生徒さんの最高齢は、何と83歳!


 ぜひ、みなさまにもこの感動を、直接味わっていただきたく、“野の花”でのライブのお話をしてお別れしてきました。帰る道すがら、寺井さんのCDを聴き、家に帰ってからも、買い物に行くときも、ずっと聞きっぱなしです。
 

 ライブ会場を出て、車のハンドルを握りながらいつまでも涙の止まらない私を見ながら、真理ちゃんは、言いました。
「よかった!あこさんがこんなに喜んでくれて・・・!」
「・・・私、ほんとのこと言うと、何にも期待してなかったのよ。ただ、一緒にドライブできればって思っていたの。」
「あのねえ!私が、そんなしょうもないライブに誘うわけないでしょう?!あこさんが、きっと満足してくれるって思ってたの。そして、新たな出逢いがあると確信してたんだから!」
「うん、うん、ほんとにそうだね。・・・ありがとう。」


 寺井一通さんのことは、当日まで全く知りませんでしたが、いろんなお話を伺ううちに、一途な平和運動をされて続けておられることを詳しく知ることができました。
 最初は東京でシャンソンを中心に音楽活動をされていましたが、1976年に長崎に戻り、反核・平和の歌をはじめ、いろいろな訴訟支援の歌、生活の歌、地域の歌などを作られています。作家の故灰谷健次郎さんとも長期に渡る友人で、灰谷さんの著書にある、こどもたちの詩に曲を付けたものも数多く出されていました。
 音楽活動の傍ら、800本のブルーベリーの栽培をし、薪を燃やしての五右衛門風呂生活なのだそうです。いいですねえ!
 この写真は、木工作家の三尾英明さんご夫妻と、寺井 一通さんたちミュージシャン仲間の方々です。ブログ用だと言うと、みなさん快く並んでくださいました。


 明日のランチの用意もあるというのに、私たちが長崎から戻ってきたのは、シンデレラ時間の23:50でした。翌日は、お世話になった真理ちゃんを散々こき使いながら手伝ってもらい、日曜日のランチ・デーは無事終了しました。


 しかし、テンションの上がっていた私たちは、翌日も更に盛り上がってしまいました。宮大工棟梁の田子和則さんの“野の花”での講演の企画案を、今回の寺井一通さんのシャンソンとジョイントさせよう!と。
 田子和則さんも、顔の広い真理ちゃんのお友達です。長崎に行く前日に、その田子さんに“野の花”での講演のお願いをしたばかりでした。
 

 と、このブログを書きながら、料理をしながらのうちに、真理ちゃんがお二人に交渉してくれて、何と早々とそのイベントの日が決まりました!9月28日(日)です!すごいことになりそうです!
 急いで、”お知らせ”をUPするようにしたいです。

 最後に、寺井一通さんの許可を頂いて、”琴海の我が家から見える風景”とともに、寺井一通音楽生活40周年記念作品CDアルバム「青春の譜ーあなたの夢の続きを歌いたいー」(2008.5月リリース)の中から、”故郷の山から”をご紹介します。


故郷の山から(2007.夏) 詞・曲・歌/寺井一通


※上のタイトルをクリックすると、mp3形式の音楽ファイルでお聴きになれます。


お元気ですか わたしは今 故郷の山懐に抱かれながら
日々の暮らしを 熱い思いで重ねています
窓から見える遠い山並み 海から寄せる風はさわやか
陽光(ひかり)を浴びて 緑豊かな 大きな自然に生かされながら
思えば遠い 道のりを 揺られて迷い続けて
振り返れば 言葉にも出来ない 恥ずかしいことばかりの人生でした 
日々の思いはめぐり巡って いつしか始めた田舎暮らし
愛する人と 心寄せ合い 明日を見つめて今日を重ねて
生きています 夢に向かって 照りつける暑い陽ざしに歯を食いしばり
生きています 今日と明日を しっかりとつなげて この夏の日を


朝もや煙る 山の朝は どこか懐かしくて
幼い頃の 母の笑顔が 何故か浮かんで来るような気がして
土の匂いが誘う涙を 風がやさしく拭ってくれる
心静かに ただひたむきに 生きることだけと思えてくる
そんな暮らしの繰り返しに 何かしら手応え感じ
疲れた身体 引きずりながら ため息まじりの暮らしの中
いのちの強さ その儚さを 痛いほどにこの身に感じ
人の心の その危うさを そっと抱きしめてみたくもなる
生きています 大地の上で 麦藁帽子に長靴 汗にまみれて
生きています 今日と明日を しっかりとつなげて この夏の日を


通り過ぎて行った 人の顔が 浮かんではまた消えて行く
あなたの夢の 続きをきっと 形にしたくて今を刻んで
人は誰でも愛したいよね 傷つけ合うのは悲し過ぎるよね
ほんの短い その人生を やさしく豊かに生きたいはず
風はやさしくこの頬をなで 星空は微笑み誘う
眩しい朝の陽光(ひかり)は今日も 生きる勇気を与えてくれる
この歌声よ あなたへ届け すべての人の心へ届け
いのちあふれる 故郷の山から ささやかな手紙を送ります
生きています この空の下 やがて来る時代のやさしさ豊かさ信じ
生きています 今日と明日を しっかりとつなげて この夏の日を


http://www.d3.dion.ne.jp/~terai12/index.htm
寺井一通さんのホームページ
コメント
被爆者ひまわり合唱団の情報からこの唄のファイルを聴く事ができました。優しいお声で寺井先生のお人柄を感じます。今日はだれかに感謝してたい日になりました。
有難うございます。
(島田 淑子 2013-09-29)
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