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バラの剪定 清さんは最大の助っ人!2008-08-07
 5月にはたくさんのきれいな花を咲かせてくれた木香バラやナニワイバラの蔓が、離れの屋根の上に覆いかぶさったり、空に向かってどこまでも伸びていきそうな勢いで茂りまくっていました。


 木香バラは、棘がないからまだいいのですが、野生に近いナニワイバラは、頑丈で立派な棘がありますので、この枝を扱うのはとても大変です。この炎天下、棘と格闘することになかなか踏ん切りがつかず延び延びになっていたのですが、とうとう重い腰を上げました。
 切るのも一苦労ですが、切った枝を狭いところから運び出す作業がこれまた大変なのです。玄関前のバラですが、主に塀と離れの間の幅が、1.5m程の裏側の部分です。分厚い手袋をはめても、何の役にも立ちません。切り落とした枝で足の踏み場がない上に、絡まり合った枝1本を引きずり出すのさえ、足を刺し、腕を刺します。おまけに頭上の垂れ下がった蔓の棘が、麦藁帽子に絡んで引き止められます。


 私が庭仕事を始めると、ありがたいことにいつも決まって裏のおじいさんの清さんが来てくれます。この日は、いつにもましてありがたいと思いました!


 「暑かなあ!家に居ったら暑うてたまらん!・・・こりゃ、バラな?」
と言うなりたちまち、私が切り落とした枝を引きずり出す作業を始めてくれました。
「清さん、危ないよ!刺さるから怪我するよ!」
「なんの、よかよか、そろ〜っと出したら良かろうたい!棘に触らんどけば良かたい。」


 心得ているとばかりに、上手なんです、清さん!
時々、「あいたたた・・・足の(が)つかまった!」なんて言いながら、手際よく運び出してくれます。こんな大変な作業なのに、驚くほど楽々とやってくれて大助かりです!


 今度は、表(玄関前)に回って、
「ここ、ここ!ここば切って!そうそう、そこ、そこ!・・・よ〜し、出てきた出てきた!」と引っ張ってくれます。
「今度は、ここ!そこの太いのを切って!それ、それ!」


 「あんたから貰ろうた、皮の手袋は、病院に行くときや、よそ行きのときにはめて行きよるとよ。大事にしとるけん!ありゃ上等やもんなあ!」
手伝ってくれながらご機嫌に、数年前の冬の手袋の話まで思い出して大声で話されます。


 ここ切れ!そこ切れ!と言われながら、剪定ばさみで切るのですが、脚立に上って身を乗り出し、足を踏ん張って切るのは、決して楽ではありません。大きなはさみを力任せに10数回も動かすと、暑さと喉の渇きと体力のなさで、ゼイゼイいってすぐに休憩です。
 こんなに切り詰めてしまったら、もしかして来春は咲かないかもしれない?・・・と一抹の不安がよぎります。
 手は、あちこちが傷だらけで血がにじんでいます。・・・清さんは、さすが無傷です!


 おやかんに入れたハーブ入りのウーロン茶と、1ℓ入りのオレンジジュースが、休憩のたびにどんどんなくなります。
「冷たいとは、いつも飲まんけど、こりゃ美味か!やっぱなあ、汗かくと美味かたい!」


 「家で、テレビばっかり観とっても、目の悪うなるけん。」
「うちの家の中は、暑かもん、あんたのとこの方が涼しか!」と言って、日に何度かは、私のところに見えられます。・・・清さんは、お茶をご馳走になるのが、大好きです!


 清さんは、今年の秋でもう84歳です。手の甲も腕も日に焼けて黒光りがしています。夏だけでなく、冬でも一年中真っ黒です、長年、野良仕事や山菜取りに山歩きをされてきたからでしょう。
 私がここにやって来た7年前より、ずいぶん歳を取られましたが、健脚で、毎日5〜6kmは平気で歩かれますので、きっとそれが健康の秘訣です。とても80歳過ぎには見えません。
 通常の庭木や枯れ草などは、すぐ近くの畑に持って行って少しずつ燃やすのですが、棘が鋭いので我が家の駐車場まで運ぶのがやっとでした。・・・と言っても、ほとんど清さんが運んでくれたのですが。


 ほとんど毎日、清さんと顔を合わせ、お客さまが店内にいらっしゃらないときは、いつも勝手にキッチンに上がって来られて、まるで自分のおじいちゃんのような気がします。正確には、年齢的にも自分の父親と言うべきでしょうが、おっとりとして穏やかな風貌は、やっぱりおじいちゃんです。


 取り立てて面白い話をされることもありませんが、人の悪口を言われることもありませんし、愚痴を聞いたこともありません。私についても何ら詮索されることもなく、いつもニコニコとご機嫌で平和です。一度だって不機嫌な清さんを見たことがありません。


 黙っていつも、私の手の届かないところの草取りをしてくれています。秋になれば、家の前の道の落ち葉を、毎朝掃いてくれます。ほとんど、私の家の柿の葉や栗の葉です。だからと言って、「もっと、ちゃんとしなさい!」とお説教をされたことさえありません。まして、「掃いておいたよ!」など言われることもありません。いつも黙々としてくれます。
・・・私だって、ほんとうはきれいにしておきたいですし、気になって仕方ないのですが、どうにも時間がなくて甘えっぱなしです。
 こうして改めて考えてみますと、清さんてやっぱり偉いなあ!と思います。
 
 
 ゴミ出しの日に、カラスに袋を破られたゴミが散乱していると、一生懸命片付けておられます。私も一緒に手伝うと、とても喜ばれます。
「お互い様やもんなあ!助け合わにゃ!」
 秋の落ち葉の時期も、たまに私が掃除をしていると、
「あ〜、こりゃあ、きれいになっとる!こげんしておくとみんなが喜ばっしゃるたい!気持ちのよかもんなあ!・・・みんなの道やもんなあ!」ととても褒めてくれます。そんな時、私は、自分が幼い子供になったような気になります。


 時々、清さんはいつまで元気で居てくれるのだろう?と思うことがあります。清さんが歩けなくなったり、入院されるようなことがあったら、手伝ってくれなくなること以上に、私はたまらなく寂しくて悲しいと思います。
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