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お母さん、大荒れ!2010-01-15
 昨夜は、夕食のときからどこか不穏な雰囲気が感じられみなさん緊張モードでした。


 「ワインはないの?」のお母さんの言葉にお嫁さんは、笑顔で新しいワインを開けグラスに注いであげられました。そして、「私たちも飲もうか!」と、グラスを追加されました。
「誰が飲むの?」とお母さん、
「私たちです!これは、あきこさんの!」
すると、無口でうつむき加減に食事を召し上がっていたお母さんが、不快そうな声で話し出されました。
「私の席は、どうしてこんなところなの?」
「???」
「使用人が私の上座に座っていて、どうして私はこんなに末席なの?」
 お母さんが、冷静?に怒りを露わにされるときはこんな言葉遣いです。


 食堂のテーブルには、息子さんご夫婦とお孫さんのお嫁さん、2歳になられるひ孫ちゃんも同席していました。一番奥の窓際に息子さん、向こう側にはお孫さんのお嫁さんとひ孫ちゃん、手前は、息子さんに近いところから、お嫁さん、私、お母さんの順番でした。確かにお母さんの席は末席でした。お嫁さんは、お母さんに謝られましたがお返事はありませんでした。私も自分が恥ずかしくなりました。みんな無言で食事をしました。


 この席順は、数ヶ月前からのものでした。最初は、私は息子さんの正面に座っていたのですが、リビングに点けてあるテレビが見えないということでその席は空けて、お母さんの横に移りました。しかし、大柄の私が居ることでお母さんもテレビが見づらく、更に席を移動してお嫁さんとお母さんの席の間に入ることになりました。
 お母さんの席が、手前の端っこなのは、お連れしたときにすぐに座っていただけるからですし、私がお母さんの横に座るのは、食事のお世話がしやすいからです。
 「今までそんなことをおっしゃったことはなかったのに、昔のご実家(呉服屋さん)でのしきたりの記憶が戻られているからでしょうね。」とお嫁さん。そうです、近頃の認知症での言動は、どうも数10年前に遡られている様子です。しかし、やはりこれは大切な気配りへの配慮にかけていましたよね?


 食後は、可愛くてたまらないひ孫ちゃんの遊ぶのを眺められていてご機嫌も直ったのですが、ひ孫ちゃん親子が10時過ぎに帰られると、またお父さんのことを思い出されてさめざめと泣かれました。痛々しいお母さんを慰めながらしばらくお相手をしていましたが、早めにベッドにお入れして、言葉少なにお母さんのガウンのボタン付けをしたり介護日記を綴っていました。


 「あんたは、いつまでそこに居て私を監視しているつもりよ!まるで私は籠の鳥たい!」とまたお叱りをいただいたので、すごすごと隣の部屋に引っ込みました。午前2時を回っていました。
 3時にお部屋を覗くとご機嫌は直っていて、「頭がかゆい!」と訴えられました。
そりゃそうです、お風呂嫌いのお母さんは年末から入浴されていません。その時間でもお風呂にお入れしてもよかったのですが断られました。毎日、「明日入る!」と言われ続けていました。お風呂は疲れますからね。
「お母さん、頭洗ってあげましょうか?」
「いやよ!」
「ベッドに寝たままでいいんですよ!」
「へ〜え、そんなことができると?!」


 寝静まった家の中で、お湯を沸かしたり必要なものを探したりしながら、ちょっと不安がかすめました。実は、8年前のヘルパー2級の研修のときに実習で習っただけでしたので。


 お母さんに逆さまに寝ていただき、頭の下にラバーシーツとビニールの風呂敷を重ね敷き、発泡スチールの箱に垂らしました。シートと服の両肩を洗濯ばさみで留め、首の下には、細長い足枕を敷き込みました。
 シャンプーをして、手桶で少しずつお湯をかけてすすぎました。なかなか良い感じ!どこにも湯をこぼさずに上手くいきました!(ほっ!)
 ドライヤーで髪を乾かし、ついでに、この際全身の清拭もしなければ!と思いました。なかなかさせてもらえませんので。絞った熱いタオルに最初は少し石鹸をつけてこすり、きれいなタオルで2度ほど拭き直します。(こんな夜中に何をしているのだろう!と我ながら可笑しくなりました。)


 「頭が軽うなった!やっぱ気持ちのよかねえ!」とご機嫌になられるとまた饒舌になられます。しかし。私も少々疲れモードでしたので、「もう寝ましょうか!」と切り出したところ「ありがとうございました!話を聴いてもらえてすっきりしました!」と丁寧におっしゃいました。・・・夜中は特別に世話になっていると思われるようで、言葉遣いが丁寧になられます。


 午前5時、お母さんの部屋のドアを光が見える程度に開けて、隣の部屋に敷いていた布団に入りました。なかなか寝付けないのですが少しまどろんでいたようです。6時半、ふと気がつくと電気が点いているのでびっくりしてお部屋に入りました。お母さんは、鏡台の前に立って引き出しの中のものを調べられていました。
「お母さん、どうしたんですか?」
「大変なことが起こった!・・・通帳がすり替えられて印鑑もなくなってる!」
「あら、お母さん、この間整理されたばかりじゃないですか!」
「あんた、さっき屋根から大きな音を立ててドスンと降りてきたろう?!」
「えっ?・・・私がですか?なんでぇ〜?大きな音がしましたか?」
「あんた!なんでそんな嘘をつくの!!」鏡台を叩きながら突然大声!
「あんたの本性が分かった!優しそうな顔してて、どうも以前からおかしいと思っていたけれどやっぱり信用できん人やった!」
「お母さん、しっかりしてください!いったいどうしたんですか!?」


 それから、暴力、暴言が始まり、ドアは閉まっていたのですが、とうとう物音を聞きつけたお嫁さんが降りてこられました。お嫁さんにも殴りかかられます。
 収拾がつかなくなって娘さんが呼び出されました。7時半に駆けつけた娘さんと、私が落ちてきたという天井の穴を確認しに廊下に出られ歩き回られます。2階にまで上がられました!こんな覚醒状態のときのお母さんは、足取りも軽く嘘のように歩くことができます。


 鏡台にしまってあった現金数十万の額が、ご自分の勘違いだったことも分かりましたが、私が屋根から落ちてきたということを私が最初に否定したため、その嘘を許せないということでした。


 被害妄想で、こういうことが予測されましたので、お母さんの宝石類や現金、通帳などの貴重品が入った引き出しだけは、私は決して手を触れたことはありませんでした。
 他人が同居していて、お正月のお年玉のためにたくさんの現金を自室に保管しておられたことが、ずっと不安で仕方がなかったのでしょうね。・・・分かるような気がします。認知症でなくても不安ですよね?大きな音に聞こえたのは、新聞配達さんの音だったのかもしれません。


 みなさんは私に謝ってくださいましたが、悲しい気持ちで早い時間に帰路に着きました。お母さんと気持ちが通じていたと自負していただけにやりきれない気持ちです。(そんなことを思うこと自体が愚か!)


 いよいよ、来週の月曜日から施設の体験入居という形で話が進んでいるのですが、それまでは何としてもお嫁さんを支えておかなければと思っていた矢先でしたので残念です。お母さんが、今朝の騒ぎを覚えておられなければ問題ないのですが、記憶にあるとすれば私はもうお母さんのお世話をすることはできなくなります。ほんとうは、今夜もお泊りの予定でした。
 認知症というものを改めて体験させていただけた出来事でした。


 今夜は、少々凹んでブログ相手に愚痴っています。
書き溜めなくても、やっぱり長いなあ〜、私のブログ。
コメント
人間老いて思考能力が変わっていこうが、中の魂は厳然として輝やいてる、と思って見れたら、なんて甘い考えは吹っ飛びますねー。そうゆうお話はよく耳にしますが、現実自分の目の前で起こると、打ちのめされるでしょう。知人が実の母親に娘がお金も宝石も取り上げたと、交番に何度も駆け込む、、、これまた壮絶
ほんとに言葉になりません。

それにしてもブログで一気に愚痴れるって
スゴイ!!!
(そら 2010-01-17)
 宙さま、慰めのお言葉ありがとうございます。
 そんな病気だと分かっていてもショックでした。

 でも、昨日はそんなことも忘れられていて、お部屋に入るとニッコリ嬉しいそうに笑ってくださいました。その笑顔を見たら、すべてが吹っ飛びました!
 お嫁さんも、それを見て一安心!だって、長い夜を私に任せることができるんですもの。

 いちばん辛いのは、ご本人ですものね。
(“野の花” 2010-01-17)
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