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「持ちつ持たれつ」  猫っ子ばあちゃんとばあちゃんっ子猫2014-08-10
この歳で愛し恋しの孫ができ
ばあちゃん子ふくという名の甘え猫
もう寝るよ窓の外に猫を呼ぶ
猫たちへつぶやきやさし叔母の顔

 猫っ子ばあちゃんがうちの人になって、丸1年になりました。
ふくちゃんがうちの子になって1年8カ月が過ぎました。

 熊本で一人暮らしをしていた78歳の叔母が、過度の精神障害や栄養失調のため衰弱状態になっていたのを見るに見かねて私のところに連れてきました。
嚥下障害や手の震えもひどくて、自分で食事もできないようなありさまでした。

 でも、日が経つにつれてどんどん回復していきました。
決して饒舌ではないですが、よく笑って、よくしゃべります。
ふらふらとしか歩けなかった足が、速足で歩けるようになりました。
最初は離乳食のようなものを作っていたのに、今では何でも食べるし、まもなく80歳だというのに、中華料理やバターやチーズ、トマトソース味などが大好きです。
今は、できる範囲のお仕事は何でもお願いしています。

 若いころは、オードリーヘップバーンに憧れて、髪型や服装を真似たりするようなモダンな人でした。
写真館で撮った当時の写真が何枚か残っています。
 うちには、キジーという従来からの猫がいたのに、ふくちゃんもうちの子に加わりました
 ふくちゃんは、間違いなくお年寄りに飼われていた子ですので、お膝の上が大好きで、寝る時も人肌に触れていないと落ち着かない子です。
・・・そんな可愛がられて過保護に育てられた猫だったのに、想像ですが、その飼い主が亡くなられて捨てられた・・・のでしょうか?12月の木枯らしが吹き荒ぶ庭に迷い込んできました。

 家の中でしか生活をしたことがなかったのだと思います。
家の外に出しても、手持無沙汰で何をしていいか分からないようでした。
私が庭の仕事中には、家の前の小道の真ん中で熟睡するような子でした。
車が来ても、犬が来ても危険だという感覚がないので、ボーとしているだけでした。
社会性がなく自立など永遠にできないと思われます。野良の資質はゼロです。
年齢は不詳ですが、子猫ではありません。

 世間を熟知しているキジーの後をついて回って真似ばかりしますが、あまり学習能力もないようです。
キジーが先程まで寝ていた廊下の籐椅子のクッションの上、キッチンの出窓の上、ウッドデッキの木陰など、寝場所まで真似ばかりしています。
じーっと傍でいつまでも見上げているので、キジーは、うっとうしくなって退散します。
キジーが熟睡していると、起こそうとしてちょっかいを出し、キジーからたしなめられます。
(キジーは、もう年寄りになったので誰にも構われたくありません。)
缶詰など食べず嫌いだったはずなのに、キジーが美味しそうに食べるのを見ると、後からひと口ふた口食べてみます。

 冬は寒さに弱く、暖房やおこたがあっても抱っこして!温めて!と鳴きつづけます。
眠くなると、早くベッドで寝ようよと、しつこくしつこく鳴きます。
お腹が空いて、ちゃんと所定の場所にご飯があっても、「ごはん、ごはん!」と訴え続けます。
(嗅覚障害もありそうです。)
夜中にさえも、「お腹が空いた!」とミャーミャー言います。
まるで生まれたての人間の赤ん坊のようです。
可愛がられていた割には、人間とコミュニケーションが取れません。
寒い、眠いが、断然多いようですが、ミャーミャー鳴くだけで、何を訴えているのか分からないことが多いです。
 そんなふくちゃんですが、性格は極めて温厚で、怒りの感情が皆無です。
そして、一日20時間以上は寝ています。
 そんな自立心のない甘えん坊のふくちゃんに付きまとわれるおばあちゃんは、満足そうにひたすら溺愛が加速する毎日です。
今では、ふくちゃんのいない生活は考えられません。

 外出が長いと外に探しに行きます。
どこに寝てるかを常に確認しています。
お腹が空いたと鳴くたびにおばあちゃんは、夜中でも灯りを点け抱っこして餌場に同伴します。
おばあちゃんが寝るときに他の場所で眠っていると、おばあちゃんはベッドの中から、「ふく〜!ふく〜!ふくちゃ〜ん!」を連呼します。
夜寝るときに居ないと、窓を開けて外に呼びかけます。

 おばあちゃんは、食事時間以外のお昼間は離れで過ごしています。
母屋を出るとき、またおばあちゃんは連呼します。
「ふくちゃん、行くよ!おいで!・・・ふくちゃん!行くよ〜!」
眠り込んでいるときは、あばあちゃんは抱っこして玄関まで連れて出ます。
「サッ、後は自分で歩いておいき。」
 ねこがいちばん好きな人は、穏やかでじっと座っているお年寄りです。
それで、真夏以外、ねこたちもほとんどの時間を離れで過ごしていました。
(猫は意外にクーラーが好きではありません。)
 おばあちゃんは金曜日だけ、デイサービスに通っていますが、その日は、おばあちゃんが帰って来るまで、ふくちゃんだけでなくキジーまでもが離れの前で待っていることが多いです。
ふくちゃんは、私がお昼に仕事から帰ってきても、おばあちゃんがいないと母屋に入ろうとはしません。

 絶対の“くっつき虫“だという大前提で、おばあちゃんはふくちゃんを諭します。
「ふくちゃん、あなた、一人で寝れるようにならんといかんよ。キーちゃんは、ちゃんと一人で寝れるよ。あなたも見習わにゃ。あなたも頑張ればできるよ。」
「この暑いとに、私の腕に顎ば載せて寝てから〜、誰かにくっついておらんと落ち着かんとだろね。ばってん、そんなんだったら生きていけんよ。」
「ふくちゃん、あ〜たは、そんなついて回ったら暑いでしょうが。いちいちついて回らんとよ。」
「ふくちゃん、人のお膝ばっかり座らんで、たまには自分ひとりで座っとかんね。いいかげんに自立せんね。」

 ふくちゃんの存在で心に愛が灯って癒されているおばあちゃんと、人の愛と手を借りなければ生きていけないふくちゃんの持ちつ持たれつのふたりだけの世界がここにあります。
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