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老人介護施設の一日2008-12-20
 長い間の沈黙でした。長いトンネルを抜け出て、久々のブログです。
(画像は、差し障りがあるので小さめで掲載しています。)
 いつまでも更新されないこのサイトへ懲りずにいつもアクセスしていただきましたみなさま、ほんとうにありがとうございます。


 介護の仕事を始めて、4ヶ月が経とうとしています。
 穏やかで平和な“野の花”のエコ&スローライフの楽園に暮らしていた私は、いつしか世間というものをすっかり忘れてしまっていたようでした。
 ・・・私というものを認めてもらえるまでのスタッフの冷たさや厳しさ、キッチンや洗濯や浴室での合成洗剤の使用、スタッフが食べるコンビニのお弁当やカップラーメン、スナック菓子、そして、入居者の方々に与えられる眠剤や便秘薬や様々な薬の数々。・・・これが現実なんだなと思い出しました。


 まずは、皆無だった介護の世界で右も左も分からず、文字通り右往左往していました。ひたすら仕事の流れを覚えること、入居者の方々の特性を把握すること、介護のやり方をマスターすることに全神経を使っていました。帰宅したプライベートな時間は、現場で学習したことを整理したり体力を維持するために“真面目”に睡眠時間を確保することに使いました。隙間の時間には親しい友人と息抜きもしましたが、大好きな庭の手入れもおろそかで(いつもきちんとしていたかと問われると怪しく恥ずかしいのですが・・・)、菜園には冬野菜の準備さえできませんでした。


 秋を駆け抜け、冬がやって来て木々が落ち葉を脱ぎ捨てたころ、やっとどうにか仕事ができるようになってきました。
 そこで今日は、私の勤務する施設での一日をご紹介してみたいです。まずは、一日の流れをみなさまに知っていただき、入居者の方々との交流のお話や感じたことなど少しずつ日を変えてお話できればと思います。




 介護職とは、家政婦を兼ねた、安全安心な生活介助をさせていただくことかな?と考えています。
 他の介護施設を全く知らないので比較しようもないのですが、分刻みでこなさなければならない仕事のメニューの多さは、まさに激務で体力勝負の世界です。まして、歩けない、膝が立たない方たちをベッド、車椅子、トイレの便器間の移乗や浴室での下半身の着脱は、大変な重労働です。


 将来必ずやって来るはずの介護される側に立てば、痩せ気味の50〜60kg程度をキープできるのが望ましいようですし、それよりも健脚でいることが最もありがたがられるでしょう。(日ごろから歩くことを心がけましょう!・・・現在私は、老後体験を先取りしています。)




 食事、服薬、服の着脱、入浴、トイレ、起床、臥床、移乗、歩行、口腔ケアーなどの介助が基本だとすれば、食堂兼リビングルームでの転倒防止のための見守り、居室からのコール対応のほか、配膳、配茶、お絞り作り、湯呑み洗い、入浴のための個人ごとの着替えの準備、入浴後の洗濯、乾燥、洗濯物干し(乾燥機を拒否の方のみ)、洗濯物の取り込み、洗濯物たたみ、洗濯物の居室収納、居室の整理、シーツ交換、各記録表(検温、血圧、酸素濃度測定、入浴記録、排泄記録、食事摂取記録、水分摂取記録、個人ケース記録)への記入、各入居者の方々への保温ポットのお茶のサービス、浴室の入浴準備(浴室の塩素濃度測定や足マットや長いすにバスタオルを広げる)浴室清掃、麦茶やお白湯沸かし、食べこぼしの掃除、ゴミ回収などなど・・・。


 あ〜〜!思い出しながら書くのも大変ですが、読まれる方もうんざりなさるのではないでしょうか?もっと細かいことを上げるときりがありません。




 これらの業務は、早出(7:00〜16:00)、日勤(9:00〜18:00)、遅出(11:00〜20:00)夜勤(17:00〜翌11:00)のシフト制で行われています。夜勤は、月平均5日〜6日、多いときで7日あります。公休は、8日〜9日。
 4階建ての居室はすべて個室、万床で150です。(現在140床?)


 私は、主に1Fや2Fの担当ですが、1Fの場合ですと25名を、宿明け1名、早出1名、遅出1名、夜勤1名で担当し(日中は、実質2名、夜は1名です。)、2Fは、45名を、宿明け2名、日勤3〜4名、遅出1名、夜勤2名での体制です。1F2F合わせて入居者70名に対し、一日当たりのスタッフは、パート介護職員も含めて12〜13名平均です。午前11:00になれば宿明けの3名が居なくなりますので8〜9名になります。一人当たり6名近くを看なければならないということになります。もっとも、自立の方もいらっしゃるので手のかかる方、目の離せない方ばかりではないのですけれど、何しろ介護だけでなく、家政婦的な仕事が多いものですから大変なのです。

 
 施設の朝は、5:30に自立で起きてこられる方から始まり、8時の朝食時間までに全員を食堂に誘導しなければなりません。2Fの場合ですと、全介助の方が12名ですので6時前から起床準備にかかります。パジャマを着替えさせ、トイレ介助やオムツ交換、洗面をしていると、一人当たり20分程度はかかります。シーツまで濡らしてしまう尿失禁があったり、便失禁でお尻が汚れていると、シーツ交換や陰洗浴のためなおさら時間がかかります。7:00になると早出が一人出勤してきますので3名になりますが、7:30からは食堂のお茶の準備やお絞りを配ったりもしなければなりません。


 それから、朝食の時間になります。厨房からエレベーターで上ってきた食事を、各トレーごとに自分の番は今か今かと待ち構えていらっしゃる方々へ配膳をします。各フロアーに東西2箇所の食堂があり、スタッフは東側2名、西側1名で対応します。それぞれに食事介助を必要としている方がいらっしゃいますので、あっちへ行き、こっちへ行きして掛け持ちでの食事介助になります。いくらも食べさせないうちに、食事の終わった方の手が上がり、看護婦が用意した名前入りの薬を、コップの水とともに持って行き、セロファンの袋を破って手のひらに載せたり口に入れたりしてあげます。飲み終わるのを見届け、下膳したトレーの中から、フロアー備品の湯呑み、コップは、洗い桶に入れ、お絞りをお絞りバケツに放り込み、お絞りトレーは、別の箇所に積み重ね、食事トレーは、棚付きのワゴンの中へ入れるのですが、その際食事摂取チェック表に記入していきます。食事介助も並行で、一口食べさせて、次の食事終了の方のところに走りお薬を上げ、戻ってきてはまた食べさせます。この食事時間の約40分は、食事介助、投薬と食事摂取量記入が入り混じって大忙しです。食事の介助を受ける方は、さぞかし食べた気がしないことでしょう。私も辛いことです。この食事の時間帯と離床介助、臥床介助の時間帯は、スタッフにとって一番エネルギーを使う、まさに戦争状態です。


 8:50には、ミーティング、夜勤帯スタッフからの引き継ぎ報告が始まり、各フロアーには1名を残してステーションに集合しますが、入浴介助の担当は、9:30の入浴時間に合わせて9時過ぎから入浴準備にかかります。(月・水・禽は、男性入浴 火・木・土は女性入浴)


 入浴介助もハードで、3,4名体制(時には2人)で、午前、午後の各2時間程度の時間帯に、それぞれ25名〜30名の方々をお入れしなければなりません。(自立の方には、個室浴もあります。)着脱介助も大変ですが、洗髪、身体洗い、入浴後の頭髪へのドライヤーや水分補給もあります。


 残されたフロアー担当は、早朝以来の排泄介助や見守り、キッチンの片付け(湯呑みやコップ、エプロンを洗う)や、コール対応をこなしながら、浴室から順次届けられる洗濯物を洗濯、乾燥にかかり、入浴が終わった介助要の方たちを浴室にお迎えにも行かなければなりません。月・水・金は、10室ずつのシーツ交換もあります。


 10:00からは、2Fにおいて30分程度の全体のリハビリ体操があります。(このためのフロアーへの誘導も必要)
 11:00には、遅出が1名出勤し、宿明けが2名減ります。11:30には、昼食準備が始まり、12時にはまた食事戦争へ突入します。スタッフの休憩時間は、12:30、13:30から交代で取りますが、フロアーは、またまた手薄になります。


 日曜日以外の14:00からは、1時間程度のレクレーションが始まります。内容は、風船バレーボール、ぬり絵、魚釣りゲーム、輪投げ、カラオケ、簡単な工作、イベント用の花作りなど日替わりです。・・洗濯室は、洗濯機、乾燥機が夕方や夜までフル回転です。(1洗濯¥100、1乾燥(30分)¥100の有料です。)


 夕方には、居室や汚物室のゴミ回収作業があります。たっぷり排泄物を含んだオムツは、相当な重さと量になります。




 夜勤者が出勤して、17:00から夕方のミーティングと申し送りが始まり、個人個人の入居者の方たちへの留意事項が丁寧に綿密に報告されていきます。受ける側は必死でメモを取り、使命を果たすべき緊張が漲ります。少ない人数で、みなさんを一夜しっかりお守りしなければなりませんから。


 18:00からの夕食が終わりお薬を飲んだ方から順次、ベッドへの臥床介助を始めます。(介助の必要な方だけ)ドロドロに汚れて糸の引く入れ歯を洗うのも苦にはなりません。早い方は、19時前にはベッドの中です。20:00には、更に就寝薬を服薬していただくために各居室を巡回します。必要な方には、血圧や酸素濃度、体温の測定をします。一回りしてほっとするまもなく、キッチンの片付けや給茶機の清掃とタンクへの水の補給、加湿器の水の補給やコール対応、夕方までに終わりきれなかった浴室のバスタオル(長椅子に掛けていたもの)や足マットの洗濯や乾燥も待っています。


 21:00からは、1時間ごとの巡回が始まります。22:00過ぎるとやっと一息つき、食事にありつけます。私は、もちろん弁当持参ですが、ほとんどのスタッフは、コンビニのお弁当やカップラーメンです。そんな食事を見ていると胸が痛みますので、相方の分まで持って行くようになりました。


 夜はどんどん更けていき、個人別ケース記録表の記録、個人差により2時間から4時間おきの排泄介助やオムツ交換、居室の物品補充(トイレットペーパー、オムツ類)を始めます。昼夜逆転の方(若干1〜2名)を車椅子に乗せてステーションで見守り、コールがあれば、目が離せないので一緒に各居室にお連れしなければなりません。(転倒事故が怖いからです。)肩や腰の痛み、身体の痒みに眠れない方たちが来られればお薬を上げたり、身体に塗ってあげたり・・・。そんなことをしていると、一睡もしないうちに瞬く間に夜が明けてしまいます。2時間の休憩時間が取れるようにはなっていますが、真面目に仕事をしていると、とてもそんな時間的余裕はありません。


 宿明けは、11:00までですが、夜間の業務が多すぎて消化できないことが多いです。次の勤務者に迷惑はかけられないので、どうしても自分のやるべき業務だけは果たして帰らなければなりません。最初は、夜勤の勤務時間の長さに気が遠くなりそうでしたが、今では足りない時間に焦りさえ感じます。


 早出、日勤、遅出のときも、定時に帰れることはほとんどありません。個人別ケース記録表を記入し始めるのは、退社30分前からとなっていますが、他のスタッフが必死で動いているのをみるとゆったり書き物をしている気分にはなれません。それに、数十名分の記録を書き上げるのは、1時間あっても書き遂せるものではありません。そんなこんなで、毎日1時間から3時間は、サービス超勤(ボランティア残業)が日常的なことになっています。更には、月一度の夜の全体会議(3〜4時間)、や各委員会、誕生会、X’mas会などのイベントの準備もすべてボランティアです。とにかくみなさん驚くほどよく働きます!


 これだけ働いても、手取りの額は、何と毎月16万円弱!家賃も借金もない私はいいにしても、所帯を持つ若い人たちやこれからの人たちには、かなり問題ありと思われます。
 人員不足で、求人は常時あってはいるのですが、辞めていく人も多いです。早い人は、一日で辞めてしまいます。


 他所の介護施設は、どんな様子なのでしょうね?私の勤務する施設は平均的なのでしょうか?


 でも、スタッフの仲間たちとのすばらしい連係プレー、入居者のみなさんと心を通わせる時間があればこそやり甲斐もありますしエネルギーを頂くこともできます。(そうです、どうやら気心知れて、私も無事みなさんの仲間入りができました!)


 “野の花”のときは、46時中がお客さま業務のために働いていました。出逢いの喜びや感動が大きかったのも事実ですが、息抜きの時間が少なかったのは、辛かったです。介護の仕事は、勤務の日は、サービス超勤を含め平均11時間、夜勤で20時間近く働いていますが、帰宅すれば自分だけの時間があります。これは、何より嬉しいことです。そして、介護の仕事が自分の性格に合っていることも分かりました。・・・可笑しいことに、私は、おせっかいすぎるほどの親切心を持っていて、この介護現場では親切の押し売りをしてもその需要に供給がまだ追いつかないほどなのです。それに、何よりも私は身体を動かすことが好きです。私のエネルギーの放出先としては、とても相応しいのかもしれません。(笑)


 長いプロローグになりましたが、これからは、差し支えない程度に入居者の方々との交流や感動、介護施設での疑問点、問題点などをリポートしていきたいと思っています。もちろん、その他の日常の事柄も・・・。
コメント
お疲れ様です
どうしているかな〜と気になっていました

今日はチョット時間があったので
野の花を思い出して覗きました

介護の仕事はたいへんだよねー
話には聞いていましたが
読んでみると やはり大変だー

でも元気でやってるみたいですね
安心しました
体に気をつけて自分が病気しないようにね!!
元気で頑張ってください   Kei
(Kei 2008-12-23)
 啓ちゃん、コメントありがとうございます。
その後どうお過ごしでしょうか?
私も、どうしてるのかなあ?と思っていました。
大変だったけれど、解決したのでしょうか?

 私は、今の仕事にはまっています。大変だけど、勉強になることばかりです。神さまに”ありがとう”を言いたいです。
(“野の花” 2008-12-24)
 読んでいるだけで目が回って来そうな勤務状態ですね。
 今までのスローライフがいきなり吹っ飛んでしまった感がありますが、多くの人の役に立てる仕事で頑張っていらっしゃるのは喜ばしい限りです。
 介護現場の問題はよくマスコミで見聞きしますが、日本では介護という「文化」が、ようやく始まったばかりのような気がします。
 明日も張り切って、そしてくれぐれもご自身の健康管理には気をつけてください。
(川内川岸辺の花水木 2008-12-25)
 川内川岸辺の花水木さま、コメントありがとうございます。・・・まあ、何という優雅なお名前でしょうか。・・・どんな麗人かと思ってしまいます!

 うんざりするような長ったらしい面白くもないブログを、よくぞ読んでくださったと、それだけでも感謝です。(私自身でさえも、2度と読みたくないくらい疲れます。)

 そうですね、「介護」は、まだやっと生まれたてなのでしょう。・・・そう考えたいです。でないとこれからの高齢化社会の未来があまりにも悲し過ぎます。それから、せっかくのピュアな心で福祉を志す方たちを挫折させてしまいますものね。

 明日は、また夜勤です。ガンバロウ!
(“野の花” 2008-12-25)
昨日は思いがけない所でお目にかかり、帰途お世話にまでなって嬉しゅうございました。又今介護の過密な一日読み、其処の中で心尽くして暖かい触れ合いなさってること、ただただ頭が下がります。心は無尽蔵でもご自分の御身体にもう少し優しくしてあげてください。 
(宙 2008-12-28)
 宙さん、コメントありがとうございます。

 昨日は、あんな場所でお会いできるなんてほんとうにびっくりしました!やはり、お会いできるようになっていたんだなあと思います。

 ”宙さん”は、やはりイメージどおりの方で、それが何とも嬉しかったです。・・・爽やかでしなやかで・・・。

 これから、きっといいご縁が繋がっていくのだろうと楽しみになりました。どうぞよろしくお願いいたします。佐々木さんの体操教室にも行きましょうね。

 昨夜は、姪浜駅までお送りしたかったです。
(“野の花” 2008-12-28)
素晴らしいとゆうか、すごいとゆうかやはりお見かけどうりの暖かくて冷静な対応 誰にでも出来ることじゃないですね。。。私もお手伝いながら、ある時絶対しゃべらないとゆう老婦人と楽しくお話出来、嬉しい気持ちのまま、隣席の方と談笑してたら、どうも自分のことを話し笑ってると思われたらしく、前より頑固に口を閉じてしまい、傷つけてしまったようでがっくりしました。むずかしいですね。
 今日佐々木さんのお教室初参加、いい雰囲気で爽やかな気が満ちてました。では又
(宙 2009-01-20)
宙さま、いつもありがとうございます!
せっかくですので、1月15日付のブログのコメント欄で、お返事させてくださいね。
(“野の花” 2009-01-20)
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