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認知症の方とのお付き合い Vol.1(認知症とは?)2009-01-11
 認知症の方と、どういう風にお付き合いをしたらいいのか、全く手探りの状態から始まりましたが、自分なりに少しずつ分かってきたことがあります。わずかな経験ではありますが、私なりにお話ができればと思います。


 認知症とは、脳の神経細胞が減少したために出てくる症状で、いわゆる脳の病気です。普通の人だと思って接すると、その非常識さに苛立ち、何とかして間違っていることを理解させたくなってくるものですが、認知症が病気であるということを理解できればそれに振り回されることもなくなります。
「あなたの言動や行動は間違っています。」と説得しようとすることは、ほとんど無意味ですし、それに固執すると説得しようとしている本人が反対に感情的になってしまいます。“脳の病気”であるという認識が、肝心なところです。


 濡れたオムツを引きちぎる、便を扱いまわすなどの不潔行為。自分がとんでもないところに物をしまい込んでおいて、物がなくなった、泥棒がいるなどという被害妄想、赤ちゃんがおっぱいを欲しがっているから飲ませに行かなければと、歩けもしないのに車椅子から急に立ち上がる、見えないのにあそこに誰かが居る!と言って騒ぎ立てる妄想や幻覚。足腰がしっかりしていれば、それは徘徊となって現れます。


 認知症の方は、抑うつと不安で心の居場所が不安定なために、相手の出方次第で怒り出したり泣き出したり攻撃的言動や暴力行為も起こってきます。気持ちが良いと極端に喜こばれ、馬鹿丁寧なくらい大袈裟にお礼を言われます。そして、少しでも傷つくと一転して怒りを露わにされることが多いです。


 程度の幅は大きいですが、軽い症状の方であれば、人の名前が判らない、自分の居室の場所が分からなくなることがある、5分前に訊ねたことをまた繰り返されるなどがありますが、完璧にボケてしまうと、言葉が無くなり喜怒哀楽の感情も薄れてしまい知覚障害(刺激を正常に知覚できない状態)もでてきます。


 私が勤務する施設にいらっしゃる多くの方は、覚醒と認知症が入り混じっています。ちょうど、接触の悪くなった電気のコードのようです。接触の具合のいいときは、普通の方と変わらずお話も通じます。そのため、じぶんの記憶障害や見当職障害、実行機能障害(認知・判断)をある程度認識されている場合が多いです。ですから抑うつと不安にさいなまされることになります。今まで長年築き上げてこられたご自分の人生に対するプライドや価値観とともに「自分が役に立たない人になってしまった」、「物忘れがひどく何をしでかすか分からない」という焦燥感や不安や混乱、そして、孤独感、虚無感が、いつも心の奥で混沌と渦を巻いているようです。


 私たち介護の仕事は、排便を察知し不潔行為を予防する、幻覚や妄想から起こる次の行動に待機する、しっかり見守りをし先回りして転倒などの危険を避ける、不安要因を取り除き安心していただけるようにするということもとても大切な仕事のひとつです。


 しかし、相手が”他人”ですから客観的に見ることもできますし、これを職業としているからできることだと思えます。46時中、たった一人で背負わなければならないとすれば、肉体的にも精神的にも限界があると思われます。私たちは、複数の方々を複数のスタッフで交代で看ることができるのですし、自分自身の息抜きの時間もたっぷり持つことができるのですから。
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