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認知症の方とのお付き合い Vol.3(排泄介助)2009-02-16
 介護の仕事の大半は、排泄介助です。ほとんどの方が、リハビリパンツ(パンツ式オムツ)か、オムツを使用されています。布パンツの方は、2割くらいでしょうか?布パンツということは自立を意味しますから、介助を行うことはほとんどありません。リハビリパンツの方は、どうにかトイレに行ける方が使われます。夜間は、リハパンのほとんどの方がオムツ使用になります。


 排泄介助は、個人差により2時間から4時間間隔で行いますが、タイミングを逃すと大変なことになっています。尿量の多い方は、椅子に座られているズボンを伝って、下にポタポタと滴が垂れて気がつくことがあります。排便は、だいたい臭いで気がつきますが、量が多いと便が腰の辺りまで競り上がってきますので、こうなると浴室のシャワーを使ったり、陰部洗浄ボトルを使ってトイレで洗ってあげることになります。(通常は、熱く蒸した清拭タオルで拭きます。)ほとんどの方が便秘薬を飲まれているのでユルユルの軟便です。オムツを開けただけで流れてしまう水溶性のタール便や不消化便もあります。(・・・毎日、便秘薬に頼るとますます自分の力で排便することが程遠くなっていきますね。薬の量も増えていきます。)そうでなくとも、体重によりプレスされた便は、お尻にまとわりつきます。


 施設で使っている陰部洗浄ボトルは、500mリットルくらいの容量で、ちょうど、台所用の合成洗剤ボトルの容器みたいなものです。ぬるま湯を入れて容器の中央を押し、水圧をかけて噴出したお湯で陰部を洗います。尿路感染予防のためにも必要です。
 でも、私が独自で使っている陰洗ボトルは、2リットルのペットボトルです。どうかすると、これを2本使います。とにかく、ザブザブと流すだけ流してさっぱりと洗ってあげたいです。赤ちゃんでさえ、お尻の汚れには敏感ですもの。
 洗うときは、素手に限ります。トイレに座っていただいているときは手探りで行いますのでビニール手袋をしていると、汚れている部分がよく分からないからです。


 “流れる便”のベッドでの処理には、私はほんの少し頭を使い手順を考えます。手馴れた方は、目にも留まらぬ速さですけど、私は、”え〜と”っと、血行の悪い頭と、不器用な手で、まず新聞紙数枚を腰の下に入れ、オムツを外して横向きになっていただきます。オムツの中には、中敷の尿取りパットも入れていますので、汚れていない前部分のパットやオムツを使ってお尻を拭きながらオムツを丸めてゆき、流れないように堰き止めつつ、一枚目の新聞紙で包み、ティッシュなどで残りの便を拭き取ります。次に2枚目の新聞紙を折りたたみながら汚れたものを折り込んで包んでいきます。それから、蒸した清拭タオル数枚を使って丁寧に拭き上げます。更にフラットオムツを広げ陰部洗浄ボトルのお湯をかけて洗うこともあります。それから、敷いていた新聞紙を抜き取るのですが、上手に取らないと、ビリッ!と腰の下の新聞紙を破いてしまうことがあります。ああ〜!そうなったら最悪!せっかく丁寧に丁寧にやってきた作業が水の泡になります。パジャマのズボンを汚したり、シーツを汚したりしてしまいます。
 また、お年寄りの方の手が、便のついているお尻に伸びてきたりすることがあります。手についたら大変!それこそ、シーツだけでなく布団カバー、ベッドの手すりまで汚染されてしまいますから。


 おしっこの失禁も、困ったり笑ったりです。
 85歳になられる男性のMさんは、10数年前に脳梗塞で倒れられ、歩行障害、嚥下障害、言語障害などをお持ちです。日常は車椅子の生活ですが、摑まって立つことはお出来になりますので、トイレの介助は大変ではありません。しかし、夜になるとおしっこの量が増え、ベッドで1時間半から2時間おきに尿取りパットを交換します。このタイミングを逃すと、シーツや下着、パジャマまで濡れてしまって、可愛そうに夜中に起きていただいて着替えをしなければならなくなります。多いときで、夜間10回近く取り替えたこともあります。


 え〜!?なんでそんなに?と思われるでしょうが、そもそも、就寝時間が10時間以上もあるのです。眠剤を服用されるため12時間寝ても、まだ寝たりない方もいらっしゃいます。そして、おむつ交換の際も目を覚まされない場合が多いです。


 頻尿に限らず、この方はとっても困った癖をお持ちで、オムツの中に手を突っ込みチンチンを出してしまわれることがあります。オムツも尿取りパットも濡れていないのに、周りが水浸しになっていることが多々あります。


 19時過ぎにベッドにお連れしたとき、私はMさんに決まって言います。
「Mさん、今夜はチンチンを出さないでくださいね。夜中に起きて着替えるのは厭でしょう?」と。
Mさんは、真面目に律儀に「ハイッ!」と言ってくださいます。
 心配なので、早いときには1時間後には看に行きます。あ〜、それなのに、オムツの縁に顔を出したチンチンはおへそのほうを向いています。これって8割の確立です。ちゃんと就寝前には、トイレに行ったのですよ。
「もう!!Mさん!・・・ダメって言ったでしょ〜ぉ!?」ハアッ〜!とため息が洩れます。
Mさんは、怒る私をからかうように、入れ歯を外した口を開けて、表情のない顔でガハハハハ・・・・と声を出し、肩を揺すって笑われます。
「もう、ダメですぅ!いっつも笑でごまかすんだからぁ〜!」


 下着やパジャマを着替え、車椅子に座っていただいてシーツ交換を行います。そして、着替えたものやラバーシーツ、バスタオルなどシミにならないうちにさっそく洗濯機を回します。(リネン類は、業者扱い)


 でも、笑顔ってやっぱり騙されます。屈託のないお顔を見ていると、着替えをしたり、身体を熱いタオルで拭いてあげたりする時間が、この方との大切な時間のように思えてきます。
 この方のいらっしゃるフロアーの勤務のときなど、ご挨拶すると、普段は喋らない方が、「ああ〜、うれしか〜ぁ!」と、震える声で、あの憎めない笑顔をくださいます。思わず愛おしくなって、頭ごと抱きしめてしまいます。


 毎日午後から面会にお見えになる、元気で陽気な奥さまに、「またやられちゃいました!・・・それで、いつも笑ってからかわれるんですよ!」と可笑しさを共有しようとお話しすると、
「すいませんねえ、あなた、主人に言ってやってください!チンチンを切ってしまうから!って。そしてね、おでこでも、パチッとひっぱたいてやってください!手でも何でも縛りつけてください!・・・いいんです、いいんです、妻の私がいいって言うんですから!」と盛り上がります。


 失禁は、すべて介護側の責任です。どんなにしたら上手く行くのか、失敗しない方法を考えなければなりません。
 いまやっていることは、パジャマの上から、バスタオルで胴巻きにすること。脇の下から腰の下まで巻きます。脇の下からは手が入る隙間はないし、太ももまでは手が届きにくいでしょうと。寝返りはなさらない方です。でも、これでもやられてしまうことがあります。肌着の下からのほうがいいでしょうか?あまり過ぎると、身体拘束虐待になりかねませんので難しいところです。
コメント
信じられない程お忙しいのに、よくさらっと明るく書けるの、すごいですねー。私の行ってるホームの介護士さんで、やはりいつもおおらかな笑顔の方が、ご主人倒れられ、留守中自分のこと何とか出来る状態にやっとなった今も、私 このお仕事大好きなのよ! と菩薩のような笑顔 すばらしいと見惚れるだけです。 いつももう少し介護の方に楽なやりかたや、ゆとり持たせてあげれないかな。。。と話しながら、おしめカバーのミゼラブルのを繕ってます。お休みどうぞ楽しく過ごされますよう。。。
(宙 2009-02-21)
 宙さま、いつも励ましのコメントありがとうございます♪読んでくださる方がいらっしゃるのも心の支えになります。

 お年寄りの方たちの笑顔と、スタッフ間のチームプレーや、スタッフのお年寄りへのやさしい声かけにいつも励まされ元気をいただいています。
 スタッフの仲間が、ほんとうに一生懸命、真剣に取り組んでいる姿も感動的です。
 
 宙さまも、相変わらずいろんなことなさっているのですよね。でも、”おしめカバーのミゼラブル”って、何でしょうか?
(“野の花” 2009-02-23)
おしめカバーの件、ゴムの部分はしっかりしてるに、中の薄い生地がボロボロになって(高温での洗濯で)
見た目無残で修理の仕様も無く、業者から生地取り寄せようかと、話してる今です。
修理にまわされてくる下着など、ここまで。。と思うほど愛着?否家族の思いやりに恵まれてない方の淋しさがひしひし伝わります。

春 吊雛 私達の手ずくりのが 皆さんに喜ばれてます。 ささやかな お手伝いで柔らかな春のような笑顔いただいて、いつもお返しの素晴らしいことです。
(宙 2009-02-23)
 宙さま、は〜!やっぱりミゼラブルなんですねえ!

 そんなお世話などもなさっているのですね。頭が下がります。
 私たちも、ボタン付けや綻びを繕うことがあります。ですが、そんな仕事は、ほとんど時間外でしかできません。そんなボランティアの方がいてくださればとても助かることでしょう。

 そして、思うことは同じですね。その方の家庭の様子が分かるような気がします。

 手作りの吊雛、すてきでしょうね!昔の方は、特に手作りを喜ばれますもの。そんな心のこもったプレゼントで、みなさんどんなに和まされているのでしょうか。
 それに、”笑顔”は、すべてのものを”和”にしてしまいますね。
(“野の花” 2009-02-23)
潜血便と言って肉眼ではわからない便があるので素手で処理するのはいかがなものかと思います。手の小さな傷口から感染して院内感染へと広がる恐れもあります。介護の現場は大変ですね。少しおせっかいでしたかね。 85歳Mさんは人生の晩年に美人から親身の介護してもらうのがすごく嬉しくて,嬉しくてという感じなのでしょうね,文章からお年寄りの嬉しそうな顔が浮かんできます。身体の健康に留意されて日々お送ってください。  
(おせっかい屋 2009-03-03)
 ”おせっかい屋さん”、決しておせっかいではないご忠告ありがとうございます。
 そうですよね、院内感染を考えると、自分への感染の問題より他の方たちへのことを配慮しなければなりませんね。今後は考え方を改めることにします。
(“野の花” 2009-03-03)
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